アートフェア東京を主催する一般社団法人アート東京(以下、アート東京)が、約2万人を対象とした「日本のアート産業に関する市場調査2019」を実施。その結果を公表した。
この調査は、インターネットアンケート会社が契約するモニターを対象に、2019年9月19日〜24日にかけて実施。有効サンプル数は2万3280サンプルとなっている。
販売チャネルトップは変わらず国内画廊・ギャラリーで982億円
算出された日本国内のアート市場規模は、「①美術品市場」「②美術関連品市場」「 ③美術関連サービス市場」の3つからなり、総計は3590億円。これは、前年の3434億円を156億円上回る数字だ。ではその内訳を見ていこう。
古美術や洋画・彫刻・現代美術などの「①美術品市場」は、2580億円(前年は2460億円)と、2016年の同調査開始以来最大となる、4.9パーセントの伸びを見せた。販売チャネル別では、国内画廊・ギャラリーが982億円でトップ。次いで百貨店567億円。続いてインターネットサイトが192億円となり、いずれも4年連続で増加となった。
ジャンル別では、日本画が513億円(前年は436億円、以下同)と昨年の洋画を抜いてトップに。次いで洋画の434億円(548億円)、陶芸の382億円(402億円)、版画の259億円(294億円)となっている。なお現代美術(平面)は317億円(222億円)だが、立体・インスタレーションを合わせると458億円(391億円)となり、2位に浮上する。
美術品鑑賞・購入の効果
上記の調査に加え、今回の調査では「美術品鑑賞・購入の効果」も分析。人々が考える「美術品を鑑賞することによるプラスの効果」は「リラックス・気分転換・ストレス の軽減」(64パーセント)「教養の習得」(59パーセント)などの割合が高く、「日本・他国の文化の認識・理解」、「創造力の 養成」、「自身の嗜好の認識・理解」なども調査対象の半数以上が効果があると考えていることがわかった。
また、「美術品を購入することによるプラスの効果」については「自身の嗜好の認識・理解」(44パーセント)、「自身のアイデンティティの認識・理解」(36パーセント)といった項目が、「美術品を鑑賞することによるプラスの効果」よりも、上位に認識された。
同調査ではほかにも「美術品の輸出入動向」や「各地域別の美術品の保有額や、購入地域」なども調査。推計結果は今後公開していく予定だ。
なお、アート・バーゼルとUBSによる、2019年の世界美術品市場を分析したレポート「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2020」では、市場規模は前年比5パーセント減で641億ドル(約6兆7500億円)と推定している。